【空に咲くひとひらの花】:連載第12回 子供が受け継いでしまったもの②

これまでのお話:【空に咲くひとひらの花】
 
 
間の悪い子っていますよね?

同じ事をしているのに、その子だけ悪目立ちをして叱られてしまう子。

悪気はないのに、絶妙のタイミングで怒りを買う発言をしてしまう子。

何とも言えない独特の雰囲気をもっていて、遠くからでも「あいつだ」と分かってしまう子。
 
 
…ウチの息子です。
 
 
小学校の低学年の集団に関わることがもう何十年もなかったため、少年野球のお手伝いの日々は新鮮でした。

年齢はまだまだ幼いのですが、十人以上集まるとそこには「社会」が出来ます。

社会性をまだ身に着けてないため、そこで繰り広げられる顛末は人間の本質を露わにします。悪い意味で社会の縮図が見て取れます。

私は学生時代運動部経験はあるものの、チームでのプレイ経験がほとんどなくチームプレイを前提とした集団、社会がどんなものか今一つわかっていませんでした。
 
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監督や古株のコーチからは「Cチームは挨拶さえできるようになればそれでいいから」と言われ、ある意味野球に特化した学童保育のようなものかも?と漠然と考えていました。

息子の代(学年)は後に伝説になるほど「癖のある集団」でした。

とにかくケンカが絶えないのです。

列をつくれらせればケンカ。柔軟体操でケンカ。ランニングでケンカ。二人一組でケンカ。etc…

よくもまあケンカの種が尽きないものだと感心するくらい、寄ると触ると怒鳴り合ったり、蹴ったり、叩いたりしています。

その台風の目が息子とA君です。
 
 
A君もかなり変わった子供でした。

ちょっと病的とも思える癇癪持ちです。一旦火が付くと長い時間暴れまわります。その間は大人であるコーチ、監督の言うことも聞きません。

泣きながら手足をばたつかせ、ひとしきり騒いだ後、誰にも何も言わず帰ってしまうこともよくありました。

そうかと思えば、外野守備についたまま守りのイニングが終わっても戻ってきません。

見かねてそばまで行き、なぜ戻らないのか聞いてみると、

「アリを見ている。今忙しいから」

と言う始末です。
 
 
そんな彼の恰好のケンカ相手が息子です。(以降、Tとします)

「AとTはケンカしにきているのか、野球しに来ているのかわからない」

と総監督からも言われるほど、毎回のケンカは名物になりつつありました。
 
 
小学生を対象とした軟式野球チームは基本的にクラブチームで、その運営は参加者から会費を徴収する形で賄われ、チーム代表にしろ、監督にしろコーチにしろボランティアで行っています。
 
なのであまりがんじがらめのルールではなく、代表や総監督の考えでチームカラーは決まっていきます。

うちのチームは大らかな面と厳しい面がはっきりしており、挨拶や基本的な部分(道具は大切にする、みんなで協力し合う等)に関してはかなり厳しかった方だと思います。
 
 
普通、コーチと言えど他所のお子さんを叱るのはかなり抵抗があるのですが、チーム内では子供の分け隔てなく「愛情をもって」注意することが励行されていました。

そのことは子供たちの保護者にも周知され、指示に従わない場合は退部してもらうこともある旨、入部時に伝えられました。
 
 
Tを注意するのは、当然親である私の役目です。他のコーチの手前、真っ先に注意するようにしていました。

A君はご両親ともにほとんど練習に顔を出されなかったので、他のコーチが注意するのですが耳を貸しません。

他のお子さんの保護者からは代表や監督にかなり苦情が入れられていたようですが、代表は
「まあ、子供なので長い目でみてやって下さい」
とあまり取り合わなかったようです。
※昭和色が色濃く残ったチームでした(^_^;)
 
 
息子には、練習が終わった後一緒に風呂に入りながら、

「なんでAとケンカばっかするんだ?」

「すぐ向こうからつっかかってくる。おれなにもしてないのに」

「…どっちもどっちだと思うぞ」

「そんなことない!おれ、がまんしてる」

「…とにかくかまうな。はなれてればいいじゃん」

「おとうさんはわかってない」

という話をよくしました。今考えると自分の子供に贔屓があってはいけないという思い、私自身の子供時代の反省から必要以上に厳しくしていたと思います。
 
 
ある日のこと。

またいつものようにA君と息子がケンカをしています。

私はちょっと離れたところにいて、他の子供の面倒をみてました。

かなりヒートアップしている二人。突然息子が手にしていたグローブをA君の顔面に投げつけました。うずくまるA君。

私はその場に走っていき、A君の様子を確認するとうっすら鼻血が出ています。

「T!!!野球選手が道具を友達に投げつけるとは何事か!!おまえはもうやめろ!!」

と息子を叱り飛ばしました。

息子は目に涙を一杯浮かべ、

「コーチはいつも!!おればっか、しかる!!」

と叫び、荷物をまとめてグランドから走って行ってしまいました。
 
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しばらくA君の様子を見て、鼻血は止まったようなので監督と一緒にA君の自宅まで送っていきました。

A君の自宅にはご両親含め誰もおらず、A君を一人残すのも心配だったのですがケガも軽かったため、とりあえず引き上げました。

グランドに戻ると古株のコーチが

「鳴海さん、ありゃないよ。俺最初から見ていたけど、ありゃAが悪い。守備についてるTにずっと砂投げてたんだぜ。Tはがまんしていた。俺が注意しようとした時、AがトドメにTに暴言はいたからさすがにきれちゃったんだ」

「…そうだったんですか」
 
 
時すでに遅しです。

夕方改めてA君宅にお伺いし、お詫びしたのですが、やり取りは全てインターフォン越しに行われ、A君のお母さんがお顔を見せることはありませんでした。
 
 
自宅に戻り、家内に様子を聞いたところ、ずっと泣いているとのこと。

息子を居間に呼び出し改めて注意しました。
どんな理由があったにしろ、大事にしなければならない野球道具を友達に投げつけてはいけない、と。

息子はうなずきはしましたが、納得はしていないみたいです。
 
 
家内からは、もっと気持ちを聞いてあげれば?、と言われましたが、その時はこのくらいの厳しさがあった方が良いと思いフォローを入れることをしませんでした(このことが後々尾を引くことになります)。
 
 
A君は結局、3年生になる前にチームをやめました。理由は確か転校だったと思いますが定かではありません。
A君がいなくなったCチームは落ち着きを取り戻すかに思えたのですが、そうではありませんでした。
 
つづく
 
 

wriiten by  鳴海集一 Shuichi Narumi

 



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