【空に咲くひとひらの花】:連載第9回 発達障害克服へ②

 
これまでのお話:【空に咲くひとひらの花】
 
 

平日は帰宅がかなり遅かったこともあり、まずは土日中心に運動の習慣を取り入れてみました。

普段の運動不足により最初は体が悲鳴を上げました。なにしろ以前は余裕でできたメニューが半分も出来ません。
簡単なストレッチでも衰えを感じました。(前屈で全く手が床につきません(^_^;))

とは言え、こうした一歩を踏み出さないことには進歩・改善はないのだと言い聞かせ、押し入れに仕舞いっ放しのトレーニング機器を準備しました。
 
 
自宅の近所に恰好のジョギングコースがあります。

最初はゆっくりと1キロメートルを6分ほどのペースで「地ならし」をします。

それまでは土日はほとんど平日の睡眠不足を取り戻すべく、昼過ぎまで寝ていたのですが「ジョギング=朝」のイメージがあり(夜のジョギングは引きこもり時代を思い出すことにもなるので)、眠い目をこすりながら河川敷のジョギングコースを走ります。
 
整わない呼吸、重い足。
 
なかなか思う通りには走れませんが、朝の静謐な空気の中、運動するのはやはり気持ちが良いものです。

jogging

 
 
一歩、一歩進む毎に頭の中には様々な考えが浮かび消えていきます。
作家の村上春樹さんがエッセイか何かで「ランニングは動的な禅である」と書かれていましたが、分かるような気がします。
 
浮かんで消える考えや思いは当然のことながら整理されていずに、どれも断片的なものです。
ですが、時間と距離が進むにつれ、徐々にまとまってくるのが実感できました。

聞こえるのは自分の足音と呼吸音のみです。
そのリズムに思考を委ねると、唐突に思えた考えがつながっていき、全体を俯瞰で眺めることが出来るようになっていくのです。
 
 
とても静寂な感じがします。
もしかしたら発達障害を抱えていない「ふつうのひと」(ちょっと嫌な言い方ですね)の頭の中は常にこんな状態なのかも知れない。そう思うとなんだか少しうらやましく思えました。
 
もちろん最初の内は、後半になると「苦しい、やめたい」気持ちが頭の中を占め、なかなか頭の整理には至りませんでしたが、慣れてくるにつれ「動的禅」効果は有効に作用するようになっていきました。
 
土日だけのジョギングなので、劇的に距離が延びたりタイムが縮まったりする訳ではないのですが、目的が脳トレなので十分その役割は果たしていたと思います。
なによりジョギング中の静寂時間は私にとって掛け替えのないものに思えました。
 
 
次の取り組みは筋トレです。
 
ダンベルを中心としたウェイトトレーニングのメニューを組み立てました。
最初は片側10キロのダンベルを使用してでのトレーニングだったのですが慣れてくるに従い、徐々に重さを増やしていきました。
 
音楽をかけながらメニューをこなしていると、ジョギング時とは違った静寂が訪れるようになりました。
 
無心、といったら言い過ぎかも知れませんが、間違いなく余計な事を考えている余裕はありません。
黙々とウェイトを扱っていると自我の存在を意識していない事が多くなりました。

training

 
メニューをこなすことだけだと長く続かない気がしたので、ジョギングにしろ筋トレにしろ、やったことを記録するようにしました。
 
 
その結果として変化した体重と体脂肪率も記録します。
いわばモチベーション維持のために仮想の目標を設けたのです。
 
 
そもそもの目的は何度も言うようですが、脳トレです。
ただフィジカル習慣は肉体的苦痛を伴うため、もっと分かりやすい目標として体重と体脂肪率の数字を掲げました。
 
当時記録していたものを今でもとっているのですが、
 
ジョギング:走った距離、かかった時間。走り終えた後の気分(○、△、×)
筋トレ:メニュー、ダンベルの重さ、回数、インターバルを踏まえたセット数。
 
体重、体脂肪率、体部位のサイズが事細かくカレンダーベースに書かれています。数字は努力の結果を如実に表しているので、成長の成果を実感することができます。

今見ると非常に涙ぐましい努力が感じられます(^_^;) 気持ち的には多分必死だったのでしょうね。
 
 

「脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方 」
日本放送出版協会刊  ジョン J. レイティ (著), エリック ヘイガーマン (著), 野中 香方子 (翻訳)

 
この本の存在は最近知りました(2009刊)。
 
簡単にいうと「特定の運動により脳の機能が改善される」ことが豊富な実証データにより紹介されている本です。
 
この本を見るにつけ、脳トレの一環として運動を取り入れたのは間違いではなかったとつくづく思いました。
 
運動とドリルの脳トレを半年ほど続けた結果、以下の成果を手に入れることが出来ました。
 

【仕事面】
・かかる時間(とりかかり、作業、タイピング、図表まとめ)が半分になった。
・思いつくアイディアの量が増えた。
・断片的アイディアではなく、解決策をふまえた総合的企画発想ができるようになった。
・結果、スケジュールコントロールができるようになったので複数の案件を並行して進めることが出来るようになった。
・他人の仕事にも目を配ることが出来るようになり、管理職になった。

 

【スペック面】
・ワーキングメモリが増え、記憶力・暗記力が上がった。
・頭の回転が速くなった。
・読書量が圧倒的に増えた。

 

【健康面】
・体力がつき、長時間労働が苦にならなくなった。
・風邪を引きにくくなった。

 
 
成果としては以上なのですが、ある件で不思議な体験をしました。
脳トレをする前はなかったことです。
 
 
あるプロモーション企画に取り組んでいた時のことです。

アイディアは結構あり、それなりに企画書の体にはなってきたのですが、今一つ決定打にかける内容です。

プロモーション対象はその会社では画期的製品でそれまでになかった切り口をもったものです。

新規ユーザーの取り込みが期待できたので、プロモーションプランも一方通行のものではなく、新規ユーザーがコミュニケーションの媒体となってくれるような双方向のアプローチが必要となります。

求められているものは十分に分かっているのですが、実行案が出てこない状態です。

考えて考えて考え抜いた結果、完全に行き詰ってしまったのでその日はあきらめ、家に帰ることにしました。

帰宅途中の電車の中でも、ぼんやりその企画のことを考えていたと思います。
 
「!」
 
それは帰宅して風呂に入る直前に起きました。

突然、頭の中に衝撃が走り、様々なアイディアが自分の意志とは関係なく物凄いスピードで湧いてくるのです。それもあるストーリーを伴って。
 

brain_s

 
思わずその場にしゃがみ込みました。

湧き出し、まとまっていく企画をなすすべもなく眺めている自分がいます。

時間にすれば恐らく15分程度くらいのものだったと思います。

会社で悩んでいた「新規ユーザーがコミュニケーションの媒体となってくれるような双方向のアプローチ」の実行案が、本当に突然まとまったのです。

しばらく呆然としていました。

恐らくお笑いになると思いますが、その瞬間は大真面目に「神が降りてきた」と思いました(^_^;)
 
 
ご承知かと思いますが、クリエイター職の方や、スポーツ選手であれば二度や三度普通に経験されていることです。
(ツボにはまるとかZONEとか言葉で表現されますね。今考えるとその小規模なひらめきのようなものだと思います)
 
ただそれまでそういった経験が一切なかった私にとってすごく貴重に思えましたし、感動した体験となりました。
 
(続きます)
 
 

wriiten by  鳴海集一 Shuichi Narumi

 



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