落ち着いて食事をしない・食事中に暴れる・遊び食べをする

発達障害の子の場合は、食べる行為自体よりも、その対象物の形・色・触覚・においなどに興味がいってしまいがちです。


ベビー時代はたいていみんなそうかもしれませんが、1歳を過ぎる頃には自然と、食べ物を見れば、食べるためのものであり、手や道具(箸やスプーンなど)をなんとか使って口に入れようとするようになりますよね。


でも発達障害児とよばれる子の中には、食べ物=口に入れて食べるもの=食事
という認識がうまく形成されず、なかなかいつまでたっても他の子のように食卓におとなしく座って、食べ物を口に入れる、ということをしない場合があります。


赤ちゃんの頃は、口に入れてあげたものをぶーっと吐き出したり。
手を口に入れて取り出してまわりにこすりつけたり。
手でぐちゃぐちゃ粘土のようにこねくり回し、あちこちに投げたりくっつけてみたり・・・。


スプーンも、持たせては投げる、また拾って持たせては投げる・・・の繰り返し。


1歳半を過ぎても直るどころか、食器を持ってガンガン鳴らす、テーブルの上に食事をひっくり返してそれを両手でバシャバシャ。
もちろん注意したり、叱ったりしますが、一向に通じません。


これは、「感覚情報の交通整理」がうまく発達しないことによるといわれています。


ADHDの子の場合は、食べるという行為よりも、遊びの対象として、目の前にあるものが興味を惹いてしまっているわけですね。


たとえば、黒柳徹子さんのお子さん時代のエピソードとして有名な「窓際のトットちゃん」という本がありますが、その中で、トットちゃんは、授業中、先生の話を聞いていなくてはならないのに、チンドン屋さんが通るとそちらにかけよって、チンドン屋さんと話をはじめてしまったりします。
また、小鳥が鳴いていれば、そちらに行ってしまいます。


本当は、先生の話を聞くほうに青信号、他のことは赤信号、というように脳できちんと情報を切り替えて、状況に合わせ、行動を制御しなくてはならないのですが、トットちゃんの場合は、自分の興味のあることに次々と青信号がともってしまうのです。
これと同じです。


食べ物を食べるということに青信号、遊ぶということに赤信号、にならなくてはならないのですが、食器・食材に心奪われ、食べるということに赤信号、遊ぶということに青信号状態になってしまっているわけなのです。


これに対しアスペルガーの子の場合は、また少し様子が異なります。
たとえば色が濃いものは気持ち悪いとか、歯の感覚が過敏とか、あるいは顎の動かし方がわからないから口に入れたくないとか、一般人にはまったく想像がつかない理由が存在しているようです。


東京学芸大学の「発達障害を有する子供の「食」の困難に関する実証的研究」という論文をよろしければご参照下さい。


普通は成長とともに発達するはずの、関節の角度や動きを感知する「固有感」が、発達していなかったり、脳における原始系反応の「触覚防衛反応」が過剰になってしまっているために触覚に過敏だったりすることも、
感覚情報の交通整理」がうまくいっていないことが原因だそうです。


つまり、食べるという場面や状況、あるいは何度か目にしたり口にしたりしたことがある食材に対して、普通は判断できるようになる「適応行動」に対し、「情報整理」できる能力が未発達なのが、発達障害というわけです。
簡単に言ってしまえば、「慣れる」ということができずに、いつまでも本能的な「恐怖」「拒否」などといった感覚が先に立ってしまうというわけですね。


詳しくは下記「作業療法士 木村 順さんの著書 育てにくい子にはわけがある」をぜひ読んでみて下さい。
タイトルからは想像もつかないほど、発達障害と脳・体・感覚の関わりが詳しく書かれていて、発達障害とは脳の機能障害であるとともに、だからこそ体の感覚障害でもあるんだということがよくわかります。
育てにくい子にはわけがある―感覚統合が教えてくれたもの (子育てと健康シリーズ)


話は戻りますが、そういうわけで、いくら怒っても、きちんと食事がとれるまでご飯をあげませんなどという罰を与えても、決して”しつけ”にはなりません。


まずは、小学校に上がる頃までには、好き嫌いはあったにせよ、なんとかそれなりに自力で食べられるようになります。
(改めて書きますが、ここで扱っているのは知的障害を伴わない発達障害です。ご了承下さい。)

ですので、もう2歳だから、もう3歳だから、とあせらなくても大丈夫です。


さらに小学校高学年にもなってくると、最初は白いご飯と塩しか食べられなかったような子でも、適切に周囲が理解しサポートしてあげることで、かなり様々なものが食べられるようになります。


一見、全然遠いように思えますが、アプローチとして大事なのは、この「感覚統合」を目指したトレーニングをすることです。
詳細は随時UPしていく予定ですが、本能的な感覚が優位になっているため過敏になりすぎている触覚を、トレーニングによってもう少しマイルドにしてあげることで、結果として食べられるものが増えるというわけです。
(とにかく嫌いなものを無理に食べさせるといった方法は、効果を生まないばかりか、さらに恐怖体験を募らせ、本能的な拒否反応に火をつける結果となってしまうので、逆効果です。)


それから、当面の対処法ですが、
ADHDのように落ち着きのない子の場合、一人で食べさせるということを無理強いせず、幼稚園などに行くようになるまでは食べさせてあげてかまわないと私は思っています。


じっと座りながら食べる、ということをせず、一口食べたら走ってどこかに行ってしまいますので、これを逆手に取り、1口大の小さな小さなおにぎりを作っておいて、ぱくっと口に入れてあげましょう。
そうすると、走り去っていきますが、まだ食べたければすぐに走り寄ってきます。
都度、口にぽろんとミニミニおにぎりを入れてやるのです。


おでかけの時にも、このミニミニおにぎりをタッパーに詰めて出かければ楽チンです。
そのかわり、ミニミニおにぎりには、なるべく一度にバランスよく栄養が摂れるよう、様々なバリエーションを用意します。


  • 鮭・ゴマ・青海苔を混ぜたおにぎり
  • 鶏そぼろ・炒めた刻みアスパラ・ゆでにんじんのみじん切りを混ぜたおにぎり
  • カブの葉の塩もみ・かつおぶしを混ぜたおにぎり
  • などなど。


    アスペルガーの子は、つるんと食べられる喉越しのよい麺類が好きだったり、白いものが好き、ピンク色のものが好き、など色にこだわって、白いものならご飯やポテトしか食べないなどといった場合もあるようです。
    (なぜそうなるかというと、多くの場合、中身や味が想像できないものは怖いみたいです)


    ただし、小麦のグルテンや乳製品のカゼインは、発達障害の症状を悪化させるのでNGです。
    麺類であればフォーや、ビーフンで代用できますし、小麦粉は米粉で、乳製品は豆乳やアーモンドミルクなどで代用できます。


    言葉がうまく話せない小さいうちは、どんなものなら食べられて、どんなものが不快なのか、日記などに箇条書きにでも記しておくと傾向がわかるようになってくるので、まずは食べられるものを与えてあげましょう。




    こうして楽しく安心して食事をしながら、様々な方法を取り入れ脳機能の修正を行なっていくことで、結果として落ち着いて食事もできるようになっていきます。
    発達障害は治るの?を参照下さい)


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