抱っこを嫌がる・抱っこでミルクを飲まない

まだ生まれて2ヶ月になるかならないのに、抱っこをしたり、ミルク(母乳)をあげようとすると、エビ反りになったり、全身に力を入れて泣き叫んだり、抵抗したりする赤ちゃんはいませんか?
こんな時、まだ口はきけないけど、ちゃんと赤ちゃんなりに意思表示しているのですね。


感覚過敏の状態だとすると、普通の人ならなんでもないような「音」「光」「温度」「肌触り」「空間」などが、ものすごくつらかったり痛かったりすることがあります。

例えて言うなら、ものすごーく寝不足でふらふらしていたり、40度近い高熱がある時に、耳元でがんがんヘビメタ鳴らされたら苦痛ではないですか?

あるいは、全身、日に焼けすぎて火傷のようにヒリヒリしているのに、熱がこもる素材の布団や、でこぼこする床に寝るのって、痛かったり不快だったりしませんか?

疲れてぐったりして、もう眠いのに、枕元からサーチライトで顔を照らされたら、まぶしいっ、眠れないからやめて!と思いませんか?

私たちに置き換えて考えてみようとしたら、発達障害児の日常は、個人差は大なり小なりありますが、そういうことの連続だと思うとわかりやすいかもしれません。
ちなみに最近ではこうした感覚過敏の人たちのことをHSP=Highly sensitive person ハイリーセンシティブパーソンと呼ぶようです。

抱っこでミルクを飲まず、泣いている時は、こんなことを疑ってみてください;

・部屋の明るさ
・抱き方

ママの手の位置や体の向きが嫌なのかもしれません

・その時のまわりの音
時計の音、工事の音、車の音、誰かの足音、話し声など

・ママの服の素材
毛やアクリルはちくちくするので嫌がる子が多いです。ナイロンも静電気を帯びることがあります。柔軟剤を使用せず外に干したものはごわごわして痛がる子も結構います。
発達障害の子は腸が弱い場合が多く、従って栄養がうまく吸収できないのでアミノ酸などから合成される皮膚も弱く、アレルギーやアトピー体質になりがちです。そのため、ほんの15分程度セーターを着た人に抱かれただけで、顔中腫れたりすることもあります。



また、広汎性発達障害の場合、脳からいく指令と、体の動きがうまくいかない、といったこともあるようです。

例えば暗闇からいきなり人が出てきたら無意識に驚いて冷や汗が出たり、鼓動が激しくなったり、悲鳴が出たり、避けたり逃げたりしますよね?
こういうのは本能的・反射的に働く反応で、「原始系」と呼ばれる機能です。

これに対して、好きなおもちゃは意識的に握り、そうでないおもちゃは手からぽろっと落とすなど、「触れたものを識別する能力」というのがあります。

この能力(触れたものの素材や、形、大きさ、自分のどこに触れたか、ということを認識すること)が、生まれてから次第に発達するのが普通なのですが、発達障害児は、本能的・原始的に働く「原始系」と呼ばれる機能のうちの「触覚」の機能が暴走してしまい、自分の意志とは無関係に原始系優位の行動が出てしまうことが多いのだそうです。
誰かの手が触れた=気持ち悪い、怖い、苦しい、痛い!! など。
そのため普通の赤ちゃんなら抱っこされて安心し、泣きやむところが、肌触りや温度、あるいは触れる場所、抱かれ方などによって恐怖・嫌悪になってしまいます。
えび反りになって嫌がったり、全力で突っぱねたり・・・というようなことになってしまうわけですね。




このほか、たとえば髪をとかされたり、爪を切られたり、歯を磨かれたりするのが、本能的に、無意識に、「怖い」「痛い」と感じたりする子もいます。
小さいうちは嫌がる子も多いのですが、これが成長してもずっと続くお子さんもいらっしゃいます。
そんな日常は、母子ともに本当に辛いですよね。胸がいたみます。

前述のほか、成長とともに、一般的には自分の意志で手や足を動かしたり、物を食べる時は顎を動かしたりできるようになりますが、これがうまくできない子も発達障害児の中には多くいます。
野菜嫌いな子の中には、顎をどうやって動かして食べていいかわからない、というのが理由の子もいます。

そんな状態ですから、きっと赤ちゃんのうちは、手足という存在が全くうまく操れなくて、上手に抱っこされることが出来ないという可能性もあるかもしれませんね。
とにかく
・「恐怖」という感覚があること
・「敏感」であるため、痛かったりつらかったりするということ
自分の体が意志とは勝手に反応してしまい、上手に抱かれることができないこと

このあたりが、抱っこを嫌がっているように見える理由のようです。
本当は、赤ちゃんも、大好きなママに抱かれたいのに、つらいでしょうね。


アスペルガー・自閉について多くの著書を出されているニキ・リンコさんなどは、自分に背中があることや、歩くための足の出し方を、意識しないと忘れてしまうとおっしゃっています。
なので、こたつに入っていて、立ち上がるときは、しばらく足が見えなかったことで足の存在を忘れてしまうので、どうやってこたつから出たらいいかわからなかったり、背中にフードのあるパーカーなどを着ていて、うっかりパーカーが何かに引っかかってしまったりすると、背中があること自体を忘れているので、なぜ自分が動けなくなってしまったのか想像がつかず、誰かがひっかかっているパーカーを外してくれるまで動けないのだそうです。

下に紹介する「自閉っ子、こういう風にできてます!」を読んでみてください。当事者ならではの独特のつらさが本当によくわかります。

この発達障害児の体の感覚についてのお話は、下記の本に詳しく載っています。ぜひ一読してみてください。


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